祈りを……

 

 

 静かであり、厳粛な空間……。

 誰もいない。マリアと大神以外の人影は、この教会の中に見当たらない。二人だけの空間がある。

 先ほど、マリアと大神は連れ立って大帝国劇場を抜け出してきたのだ。誰にも言っていない。だから、もしかしたら劇場では二人がいなくなったことで怪しんでいるかもしれない……。

 しかし、二人での時間を共有したかったのだ。誰も責められるいわれはない。今日この時だけの幸せでも。

 大神は隣で一緒に祈りを捧げているマリアの姿をチラッとだけ見た。

 マリアは目を閉じて祈りを捧げている。その姿は、今日特別公演された『奇跡の鐘』の聖母を思い起こせる。

 やはり、自分の目に狂いはなかった。誰よりも気高く、誰よりも清らかな存在なのだ。だからこそ、あそこまで立派に聖母を演じられたのだ。

 他の花組が演じる天使の中心にいて、一際輝いていた。

 観客はマリアの清らかな魅力に包まれた。大神も例外ではない。普段のマリアは男装の麗人として人気を博しているが、女性らしい魅力も輝くばかりにあるのだ。

 そのマリアが隣で祈りを捧げている。大神は心が温まるの安堵感に浸っていた。

(世界が、平和でありますように………そして……)

 自分も祈りを捧げる。

 勝ち取った平和を永遠のものにしたい。花組はその平和を勝ち取るために、死力を尽くしたのだ。

 全員がうら若き乙女。本来ならあのような戦いとは縁のない生活をし、青春を謳歌するのだろう。

 しかし、世界は彼女達を欲した。だからこそ、一心にして敵を、悪を滅ぼしたのだ。

「マリアは、何を祈ったんだい?」

「世界平和ですよ、隊長」

 マリアらしいことだった。だからこそ、自分をサポートしてくれる。マリアがいなければ、ここまで来れなかったかもしれない。勿論、誰一人として欠けては到底無理だっただろう。皆がいたからこそ、勝てたのだ。

 今があるのだ。

 しかし、大神にとってマリアは花組の中でも特別だった。だからこそ、こうして二人でいたいと願う。

「隊長こそ、何を祈られたんですか?」

「マリアと同じだよ」

 大神もマリアと同じ願いだった。この平和が永久のものとなるように。そして、もうひとつの願いも。

 お互いに笑顔を浮かべる。優しい笑顔だ。

 この笑顔こそが、花組……帝国華激団にとって最大の勲章だ。そのことを誇りに思う。

ゴーン…ゴーン……

 重厚な鐘の音が鳴り響く。時刻は、午前零時。

「メリークリスマス、マリア」

「メリークリスマス、隊長」

 今日は聖夜だ。誰しもが感じる、聖なる日……。

「こうして、マリアといっしょにいられてよかったよ」

「私もです」

 少し照れたように、笑うマリアがとても愛しい。

 大神はそっと、マリアを抱きしめた。

 外は深々と雪が降り積もる。

 静かに……そして愛しく時間は流れていく。

 今日は特別な日……。

 愛が溢れそうな日……。

 きっとあなたに……奇跡が起こります。

 あなたと二人の、ラブストーリー……。

 

 

<END>


あとがき

 ここまで読んでいただきありがとうございます。(深々)
 ……短いです。(爆)
 すみません。変な文章になってしまいました。(土下座)

 ゲームのサクラ大戦2をやったことがあるお方でしたらわかると思いますが、これはあるシーンをもじって作っております。
 ですが、ゲーム本編とは違っておりますので間違われないで下さい。ゲーム本編のほうが桁違いに感動的ですから。
 気になられましたら、是非やってください。ブームは外れてしまいましたが、サクラ大戦シリーズは名作です。(断言)

 この作品にすら、批評と指摘がありましたら遠慮なくどうぞ。喜んでお受けさせていただきます。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………。
 この下にあるものを見たいのでしたら、約束して下さい。
 決して怒らないと。(汗)

 そして、サクラ大戦ファンの皆様、お許し下さい。笑って許して下さい。(土下座)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大神とマリアが教会で過ごしている時間、二人が知らないところで蠢く影があった。

「聖夜はいいな〜、大神。ちょっと寒いけど」

 ギターをかき鳴らし、どこからか用意した大道具を背後に、加山はキラーン、と決めた。

「ちょっと、加山さん、気づかれてしまわれますわ」

「せやせや、ちょっと黙っててんか」

「そーです。気づかれてしまいまーす!」

「織姫ももう少し声を小さくしたほうがいい……」

「ぶぅ、お兄ちゃんったら〜」

「コラ、アタイたちがいるって気づかれちまうだろうが」

 一応、特徴的な口調で誰が誰だか説明しておこう。

 最初に喋ったのがすみれ、次から順番的に紅蘭、織姫、レニ、アイリス、カンナだ。

「ちょっと、カンナさん。あなたの声が一番大きいんじゃなくって」

「なんだと!」

 そのとき、ちゃき、と静かな音が聞こえる。

 何事かと思って全員の視線が集まった先にはさくらがいた。

 その手には霊剣荒鷹。先ほどの音はこい口をきった音だったのだ。

「……さくら?」

 レニの呼びかけに反応はない。カンナとすみれも喧嘩のことを忘れて注目している。

 少しして、さくらはゆっくりと歩き出した。虚ろな瞳で。

 その先は教会の入り口……。

「あかん!」

「みんな、さくらを止めろ!」

 限りなく小さな声で叫ぶ。

 さくらは一斉に飛びかかれて、がっちりと極められてしまい身動きが取れない。

「離してください!わたし、いかなきゃ!」

 力一杯叫ぶ。これも教会の中には聞こえないように小さな声で。

「大神さんの浮気者ぉ!!」

 この一言で、加山を除く全員の意思はひとつになる。

「そうですわ。少尉ったらわたくしを放っておいてマリアさんなんかと」

「お兄ちゃん、アイリスだけって言っていたのに」

「なんや、みんなもだったんかいな」

 紅蘭と織姫は呆気に取られていた。

「やっぱりニッポンの男はダメでーす!」

「隊長……」

 レニは珍しく感情を声に現していた。いや、隠し切れないほど強い感情ということかもしれない。

「まあまあ、みんな落ち着こうぜ」

 そういうカンナも肉眼で確認できるか出来ないかわからないほど、オーラか何だかが立ち込めている。

「浮気はいけないな〜、大神。後が怖いから」

 相変わらず加山はギターを鳴らす。

 声は押し殺しているので聞こえないかもしれないが、何故か教会の中にはギターの音すら入っていない様子だ。

 教会には結界が張ってあるのだろうか?

「みなさん……」

 さくらが静かに告げる。いつの間にかさくらを戒めていたカンナとレニの腕は解かれていた。

「わかってる。さくら……」

 代表としてカンナが相槌を打つ。全員同じ輝きを瞳に宿している。

 まるでその先は言わなくてもわかっていると訴えているようだ。

「大変だな〜、大神。死ぬな」

 ぼろ〜んとギターを鳴らす。

 大神とマリアが劇場に帰った夜、今年最大最凶の作戦が実行されたのは、帝国華激団の裏ファイルに残っている記録しかない。

 聖夜に相応しくない、血の香りが立ち込めるのは少し先のことである。




 誰もいない交差点に立つ♪
 あなたと私の間に粉雪が舞う♪
 願い事が一つだけあるの♪
 今日は特別な日♪
 だから少し夢をください♪
 誰もいない街角を行く♪
 あなたは私の手を取り♪
 なにも言わない♪
 願い事は温かい言葉♪
 今日は特別な日♪
 だからきっと奇跡が起こる♪
 誰もがほんの少し誰かを思うとき♪
 奇跡の鐘が鳴るのだろう♪
 誰もがほんの少し誰かを思うとき♪
 愛の灯火灯るだろう♪
 今日は特別な日♪
 愛が溢れそうな日♪
 きっと私に♪
 奇跡が起こります♪
 今日は特別な日♪
 愛の鐘が鳴る日♪
 あなたと二人の♪
 ラブストーリー♪ 

 この歌が、いつ大神の心に響いたかは不明である……。



 

<FIN>


こちらにもあとがき

 

 言い訳はしません。
 しかも、面白ければよかったのですが、内容も……。(滝汗)

 本当にすみませんでした。(土下座)